特ラ連発足10周年を祝す
テレビ番組制作今昔
社団法人
日本ポストプロダクション協会


会長 新田 昌司

 10周年記念おめでとうございます。
 10年一昔と言いますが,団体を設立し、維持発展させてこられた10年間はそれなりにご苦労もあり大変だったことと思います。
 最新技術の進歩の速さを表してドッグイヤー(通常よりも7倍も早く進む犬の時間だそうです)の単位で物事を考えないと時代に追いついて行けないという人もおります。
 1歩1歩確実に新しい世紀に向けて躍進する貴連盟の活躍を心よりお祝いを申し上げます。
 こんなスピードの時代に昔の話になって恐縮ですが、私もまだ若く制作技術の現場で働いていた頃にマイクロフォンがワイヤレスに少しずつ変わってゆきました。当時、どちらかというと映像系の私にとってのマイクロフォンは、単に邪魔な存在でしかなかった様に記憶しています。
 スタジオのカメラマンにとって、ブームにぶら下がったマイクの見切れやマイクの影が画面に写ることは、直接NGに繋がる恐怖の元でしかありませんでした。マイクが見切れても怒られるのはブームさんの役割で、カメラマンが怒られることは余りありませんでしたが、お互い後味が悪いことには変わりなく、時には照明を含めて大喧嘩になる事もありました。
 ドラマにしろバラエティにしろ当時は、現在の様にVTRの編集が簡単にできなかった為に、もう少しで収録が終わると言う時に出すNGは特に顰蹙物でした。バラエティやクイズ番組等の場合は完パケ収録を原則にしており、途中でマイクが出ました・マイクの影が顔にかぶりましたでNGを出すのは非常に辛いものがありました。
 ドラマの場合はワイヤレスマイクを持って登場したりは出来ませんが、バラエティ系の番組等には、ワイヤレスマイクは非常に便利な優れものとして登場しました。
 いい音を録れる音声さんだけでなく照明もカメラマンも又役者さんもこれには大変助かりました。特にワイヤレスのピンマイクが使用できるように成ってからは番組制作での技術NGの半分はなくなってたのではないかと思っています。
 こんなに使いやすいワイヤレスマイクロフォンも初めの頃は、使用範囲も狭く、たまには変な電波やノイズを拾ったり、ワイヤレスマイク同士で混信をしたりしていたようです。
最近では皆さんの活動のお蔭もあってか問題点は解決され、殆どの番組で利用されており、当時では考えられないような自由な演出・構成も可能になりました。今後、ワイヤレスレシーバーも加われば、更に発想の自由な楽しい番組制作が出来ることと思います。
 21世紀には利用者も範囲も広がり、連盟としての活動も益々多忙になろうかと思います。更なる今後のご活躍を期待しています。


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