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「声」と「音」

仲代達矢様特ラ連20周年、おめでとうございます。
 私ども無名塾の芝居の「効果」(音響)を八幡さんに初めてお願いしたのは、1986年の「プアー・マーダラー」からでした。それから、毎年のように、私どもの芝居にお付き合いいただいて来たのですが、いつも新鮮な感覚で効果音を考えていただき、「ソルネス」の最後で塔から落ちる音や、「セールスマンの死」でのラスト近く、自殺のために突っ走らせた車の大破する音など、今でも印象深く心に残っているものがあります。
 芝居を成り立たせる要素としては、さまざまなものが挙げられると思いますが、私にとって「声」と「音」とは、まさしく芝居の心臓部のような気がしています。もちろん、私たちの「新劇」にとっては、生音が基本です。劇場のキャパが1000なら1000、2000なら2000の、その最後列まで生音で届かせなければなりません。そして同じ役者同士としては、相手があの音で出たら、こちらはこの音で出るといったような、音の高低や大小による組み合わせが、台詞術の醍醐味ともなるわけです。当然、その役の心理をきちんと捉えた上でのことですが……… いかに声や音が芝居にとって重要かが、判っていただけるかと思います。
 そうした「声」や「音」を操作する皆さんが、同じ業界で集まりを持ち、相互に情報を交換しながら、劇場のより良き機構を目指して奮闘して来られたことは、私たち演劇人にとって誠に感謝に堪えません。そして、20年目を迎え得た皆さんの地味な活動が、漸く行政を動かすところまで、来たのだろうと思います。我々の芝居もそうですが、いったん舞台の裏に回ってみれば、小道具や衣装など、誰の目にも見えないところで、さまざまな積み重ねがあります。それと同じようなもので、人の目の届かないところでの淡々とした積み重ねが、皆さんの今を築いて来られたものと考えます。
 皆さんの集まりが、更に裾野を広げて発展されんことを心より祈願し、お祝いの言葉にとさせていただきたいと思います。

サイン

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