特定ラジオマイク運用調整機構

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Q&Aよくあるご質問

Q01.「ワイヤレスマイク」と「ラジオマイク」の違いは?
A呼び方が異なるだけでどちらも同じです。

マイクロホンは音を電気信号に変換して伝送する機器です。伝送にはケーブル(有線)を使用するのが普通ですが、ケーブルの代わりに電波(無線)や光を使用するものを「ワイヤレスマイク」あるいは「ラジオマイク」といいます。イギリスではワイヤレスマイクロホン、アメリカではラジオマイクロホンと呼ぶのが一般的なようです。

電波法にはラジオマイクと記載

日本では電波法の施行規則第33条に「ラジオマイク(電波を利用するマイクロホンをいう)」と記されているので、公式的には「ラジオマイク」という呼び方を使うべきだと思います。とはいえ、通常はどちらを使ってもよいのではないでしょうか。

近年、技術の進歩で、コードレスホンやセキュリティシステム等、電波(ワイヤレス)を利用する機器が多くなっています。これらを整理・規制するため、送信出力が10mW以下という弱い電波を使う機器を「小電力無線局」、さらにその中で電気通信回線と接続しないラジオマイク等を包括して「特定小電力無線局」という免許の不要な分野を設け、1989年1月に制度化されました。そして、さらに放送番組制作や劇場・ホール等での高品質な伝送を考慮した「特定ラジオマイク」が1989年10月に誕生したのです。

現在、日本のラジオマイクは、特定小電力無線局として扱われる免許不要なもの(B型、C型)と、陸上移動局として免許を取得する必要がある「特定ラジオマイク(A型ワイヤレスマイク)」に分けられています。

Q02.A型、B型、C型。それぞれどのようなラジオマイク?
A免許の有無や周波数、用途などによって使い分けられています。

特ラ機構が運用調整しているラジオマイクは、免許が必要で470~710MHz、710~714MHz、1240~1260MHz(1252~1253MHzを除く)を使用した「特定ラジオマイクの陸上移動局」と呼ばれるものです。その略称として「特定ラジオマイク」、「A型ラジオマイク」、「A型ワイヤレスマイク」と称されています。

一方、免許の不要なワイヤレスマイクとして「特定小電力無線局」が存在。その使用周波数帯域によって、800MHz帯は「B型」、300MHz帯は「C型」と呼ばれています(表)。

なお、電波法制上には「A」、「B」、「C」の呼称はなく、便宜的に呼ばれています。

表 現在使用されているラジオマイクの分類
A型 B型 C型
用途の概念 音声、楽器音等をすべての点で高品質に伝送することを目的とする用途。 音声、楽器音等を比較的良好な忠実度、S/N比で伝送することを目的とする用途。 音声等を必要最低限の明瞭度で拡声することを目的とする用途。
使用周波数帯 470~714MHz 1.2GHz 806~810MHz 322MHz
無線局免許 陸上移動局免許 不要 不要
運用調整 必要 不要 不要
Q03.特定ラジオマイク(A型)とB型ラジオマイクの違いは何?
A最大の違いは運用するにあたって無線局免許が必要か否かです。

ワイヤレスマイクは、「特定ラジオマイク(A型)」と「B型」が主流になっています。両者の違いはどこにあるのでしょうか。最大の違いは、運用に際して無線局免許が必要か否かにあります。なぜ、同じラジオマイクでありながら、このような違いを設けたのでしょうか。その理由を知るには、特定ラジオマイクが誕生した経緯を紐解く必要があるでしょう。

微弱なワイヤレスマイクに限界

昭和から平成に変わる頃までは、微弱な電波で免許を必要としないワイヤレスマイクが使われていました。しかし、ワイヤレスマイク全体の使用頻度が高くなるにつれ、放送を含む一般の無線通信をこれら微弱無線局の干渉から守る必要性が出てきたのです。当時、電波関係の管轄官庁である郵政省(現総務省)は、ワイヤレスマイクにおける電波の許容値について基準の見直しをしました。

ところが、演劇やコンサートといった舞台芸術として質の高さが求められる現場において、その新しい許容値では使用が難しく限界があったのです。そのような理由で、芸能関係者や団体等から、高い技術的条件を備えた業務用ワイヤレスマイクの誕生が叫ばれるようになりました。

他に影響を及ぼさない運用技術が必要

そこで郵政省は「B型」および「C型」のワイヤレスマイクを、無線局免許不要の「特定小電力無線局」として省令を施行(1989年1月)。続いて、放送局が使用している800MHz帯FPUの周波数(当時)を一部共用する形で、高品質な業務用ワイヤレスマイクである「A型」を「音響業務用」の「特定ラジオマイクの陸上移動局」として新たに法制化しました(1989年10月)。特定ラジオマイクは使用に際して、周波数を共用している放送局はもとより、他の特定ラジオマイクに影響を及ぼすことのない運用技術が望まれました。その観点から無線局免許を必要とすることで、免許不要のワイヤレスマイクと差別化したのです。

周波数を移行した現在においても、放送局や他システムと周波数を共用していますから、以前と同様に高い運用技術が必要とされているといえるでしょう。

Q04.コンサートで使われる「イヤー・モニター」とはどういうものか?
A出演者が自分の声や演奏などを聞くためのシステムです。

イヤー・モニター(イヤモニ)は、携帯型の受信機に接続されたイヤピースを通して、舞台上にいる出演者が公演中に自らの声や演奏を聞いたり、制作スタッフからの指示を受けたりする装置です。主にライブやコンサートなどで利用されています。

自由な演出や経費節約もできる

以前は、ステージ上に設置された“返し”と呼ばれるモニタースピーカーを通して、出演者は自らの声や演奏などを聞いていました。しかし、イヤー・モニターの登場により、次のようなメリットが生まれたのです。

  • ・フィードバック(ハウリング)がなくなる。
  • ・モニタースピーカーに制限されず、出演者は自由に動き回れる。
  • ・モニタースピーカーの搬出入、運搬、設置等が必要無くなり、経費の節約ができる。

特に大きなコンサートでは、イヤー・モニターを使わないとモニタースピーカーを多数設置しなければなりません。また、出演者の移動範囲も限られてしまうため、演出にも制限が出てきてしまいます。もはや、イヤー・モニターはライブやコンサートに必須のアイテムといえるでしょう。

Q05.特定ラジオマイクを購入したらどうすればよい?
A必ず特ラ機構に入会した上で免許を取得しましょう。
特定ラジオマイク運用調整機構に入会

特定ラジオマイクを使用するにあたっては、一般社団法人特定ラジオマイク運用調整機構(以下、特ラ機構)への入会が必要です。

電波法によれば、特定ラジオマイクは「一般業務用」という位置付けにあり高品質であることから、テレビ中継やライブ・コンサート・演劇などで多く使われています。このような現場での本番中に、突然他の電波が飛び込んでくるといったトラブルがあっては、運営に支障をきたしてしまいます。

特ラ機構では、会員が特定ラジオマイクを使用する際、使用場所、時間などの情報を事前に頂いています。そして、同時刻に近隣で特定ラジオマイクが使われていないかを運用調整システムで探り、使われている場合には、その旨、お知らせすることを主たる業務としています。そのため、会員は使用状況が事前に分かるので、他の会員や放送局等と使用場所や時間が重なった場合、双方で周波数の打ち合わせをすることによって、トラブルなく現場業務が遂行できるわけです。

無線局免許を取得する

特ラ機構に入会したら、続いて無線局(特定ラジオマイク)免許を取得します。

放送、携帯電話などで使われる電波は総務省が監理しており、その基となる法律が電波法です。電波法では「無線局を開設しようとする者は総務大臣の免許を受けなければならない」となっています。特定ラジオマイクも立派な無線局であり、無線局免許を取らないと使用できません。

無線局免許の申請には、様式に従って記入された免許申請書や事項書などの各種書類が必要です。その書類に特ラ機構の加入証明書を添付して、総務省に申請します。その後、書面審査において問題がなければ、無線局免許が交付されるという流れです。当機構は、無線局免許の申請に関するお手伝いもしておりますので、まずは事務局へご連絡下さい。

当機構への加入から運用開始までの流れ
  • ① 運用目的や運用場所に合わせた周波数帯・機器の選定をして下さい。
  • ② 特ラ機構へ連絡をお願いします。入会申込ならびに免許申請関連の必要書類をお送り致します。
  • ③ 必要書類をご記入・押印の上、特ラ機構事務局へご返送下さい。
  • ④ 無線局免許申請書類を総務省総合通信局へ提出します(免許状が交付されるまで約1か月必要です)。
  • ⑤ 無線局免許状・会員資料をお送り致します(この時点から特定ラジオマイクをお使い頂けます)。
  • ⑥ 必要経費のご請求を致します。
  • ⑦ 特定ラジオマイクの使用時は、必ず運用連絡をお願い致します(移動会員のみ)。
Q06.特ラ機構の加入証明書はどのような時に必要となるか?
A特定ラジオマイクの新設や増設する際にそれぞれ必要です。

初めて特定ラジオマイクを運用する場合、その免許を取得すると同時に、特ラ機構へ入会して頂くことが必要となります。そして、特ラ機構が『入会申込書』による入会意思を確認した後、発行する書類が「加入証明書」です。加入証明書は同じものが計3部発行され、会員、総務省総合通信局、特ラ機構の3者でそれぞれを保管します。

運用調整に関する資料=加入証明書

総務省は、特定ラジオマイクの免許を交付する際、混信保護の立場から「運用調整に関する資料」が申請者から提出されていることを求めています。その根拠は「電波法関係審査基準」にあり、特定ラジオマイクに関して定められた項目にある「運用調整に関する資料」という部分が、特ラ機構の加入証明書に該当します。これが特ラ機構へ入会して頂く理由です。

加入証明書は、入会の際に1度だけ発行されるものではなく、ラジオマイク1局1局に対して発行されます。加入証明書に保有数(免許取得数)を明示しているのはこのためです。よって、ラジオマイクを増設する場合にも、総務省総合通信局へ提出する申請書類には必ず加入証明書を添付しており、総務省総合通信局からも提出を求められます。

なお、老朽化や修理不能などでラジオマイク本体が使えなくなった場合、既に免許を取得しているからといって、新しく購入したラジオマイクをそのまま入れ替えて使用することは電波法違反です(17条、19条など)。この場合、設備更新という変更申請手続きをとるか、あるいは廃止して新たに免許を取得するかの2つの方法があります。

会員分の加入証明書は免許取得後に送付していますので、大切に保管して下さい。

電波法関係審査基準

さまざまな無線局の免許を許認可する際の基準について定められたもので、総務大臣から省内へ通達される総務省訓令。特定ラジオマイクについての基準の1つとして、混信保護を挙げている。

混信保護 (470~714MHz)

同一周波数帯を使用する他の特定ラジオマイク及びデジタル特定ラジオマイクの陸上移動局との混信防止のため、運用調整に関する資料が提出されていること。

混信保護 (1.2GHz)

同一周波数帯を使用する他の特定ラジオマイク及びデジタル特定ラジオマイクの陸上移動局並びにテレビジョン放送番組素材の中継用の陸上移動局又は携帯局との混信防止のための運用調整に関する資料が提出されていること。

Q07.免許申請や変更、廃局などの費用はどのくらい必要か?
A変更や一部廃止の場合、1局あたり2,500円を負担して頂いています。

特定ラジオマイクの免許を取得する場合、手数料などの費用が必要です。特ラ機構では免許申請等のお手伝いをさせて頂いておりますが、免許取得後、免許状の記載内容を変更する場合、あるいは一部使用を中止(廃局)する場合などにも申請書類等を作成、提出するために手数料を頂戴しております。その詳細は、表の通りです。金額に関して、特ラ機構扱いのものについては、「特ラ機構『入会金及び会費規約』」に基づいております。

以下、免許状の変更や廃局に関して、詳しく解説しましょう。

免許状の記載内容を変更したい

本社が移転するなど免許人の住所が変わった場合や、社名が変わった場合などには、免許状記載内容の変更が必要になります。また、常置場所の住所や名称が変わった場合も同様です。

その他、修理不能あるいは老朽化によりラジオマイクの使用を中止し、他の機種と入れ替えようとする場合(設備更新)や、それに伴う電波の型式や周波数範囲の変更、また移動範囲を変えたい場合なども、免許状記載内容の変更にあたります。これらの変更は、総務省総合通信局(長)に対して『無線局変更申請書』を提出して行います。

最近、増えている変更申請は、別組織との吸収、合併、分割や、業務を別組織に承継するため、免許人を変更しようというものです。これらはすべて、吸収、合併、分割、承継などの行為が完了する前に届出をして、総合通信局長の許可を得なければなりません。

また、指定管理者制度導入に伴い免許人が変わる場合は、変更ではなく、免許取り直しとなります。

一部のラジオマイクの使用を中止したい

例えば「手持ちの特定ラジオマイクのうち、何局かは使用しなくなった」という場合は、『無線局廃止届』の提出が必要です。これも免許状記載内容の変更と同様に、総合通信局(長)に対して行います。なお、全局廃止の場合、特ラ機構は手数料を頂きませんが、一部廃止の場合は免許状の変更と解釈しますので、その費用を頂戴しております。

表 特定ラジオマイク免許取得等に必要な費用

①入会金 特ラ機構扱い 1加入 20,000円
②年会費 特ラ機構扱い 1加入 48,000円
③運用調整費(※1)(固定) 特ラ機構扱い 年額 1,200円
          (移動)
特ラ機構扱い 年額 3,600円
④新設免許申請手数料(印紙) 総務省扱い 1局あたり 2,550円
⑤免許申請書類等取扱費 特ラ機構扱い 1局あたり 5,000円
⑥免許状記載内容の変更(※2)、一部廃止 特ラ機構扱い 1局あたり 2,500円
※1 規約上の金額。周波数移行に伴い、平成30年度には暫定の年額を適用している。詳細はこちら
※2 免許人名・住所・常置場所・移動範囲(全局の場合)の変更については、別途、割引の規定あり。
Q08.「運用調整費」は何に使われているの?
A干渉の恐れがある当事者に注意を促すための通信費などに使われます

特定ラジオマイクは、多くの会員や放送事業者が周波数を共有して使用しています。また、周波数帯によっては、FPUやエリア放送等の他システムとも共用しなければなりません。そのため、相互の電波干渉を未然に防ぐ「運用連絡調整業務」を行う必要があります。特ラ機構は各会員からの運用連絡情報をまとめ、「TVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会(※)」の運用調整システムを通して、電波干渉の可能性がある当事者には注意を喚起、打合せの依頼を行っています。この一連の作業が「運用連絡調整業務」です。

通信費やシステムの維持費などに使用

「運用連絡調整業務」は電波干渉の可能性があるすべての会員や放送事業者、他システム利用者に注意を喚起し、打合せの依頼連絡を出しています。その流れの中で発生するEメールやFAXなどの通信費、運用調整システムの維持費、消耗品費等が「運用調整費」です。固定使用のマイクについては1局あたり年額1,200円、移動で使用するマイクについては1局あたり年額3,600円を会員の皆様に負担して頂いています(周波数移行に伴い、平成30年度は暫定の年額を適用している。詳細はこちら)。

なお、運用調整費は「チャンネルプラン」制作費ではありません。また「使用周波数を特定する」費用でもありません。特別な状況(ガイドラインが定める同施設・多数会員・多本数同時使用時。詳細はQ21を参照)を除き、特定ラジオマイクは運用者主体の話し合いで運用されます。

(※)「TVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会」

特定ラジオマイクやエリア放送、FPUなど異なった無線システム間の運用調整を行うために設立された団体。当機構や放送事業者、エリア放送事業者、その他関係団体などで構成されています。当機構は、WS協議会事務局のラジオマイク等運用調整担当として機能しているほか、会員として同協議会に加入しています。当機構会員は、当機構を通してWS協議会へ団体加入しているというかたちになっています。

Q09.「移動局」と「固定局」にはどのような違いがある?
A移動局は全国で使用でき、固定局は特定の場所でのみ使用可能です。

特ラ機構では特定ラジオマイクの運用形態について、「移動局」あるいは「固定局」と表現します。これは特ラ機構が便宜上使っている言葉で、電波法上の「移動局」や「固定局」とは異なるものです。また、TVホワイトスペース帯の運用形態における「固定型」や「可搬型」、「移動型」とも異なりますので、混同しないよう注意が必要です(Q23参照)。

特定ラジオマイクの免許状には、電波法により使用する範囲を記載しなければいけません。「移動範囲」という欄がそれにあたり、「全国」あるいは「免許人の業務区域内」のどちらかが記載されるようになっています。それぞれについて説明しましょう。

  • ・「全国」…日本国内すべての地域で使用することが可能です。ただし、TVホワイトスペース帯はチャンネルリストに掲載されている施設のみでの使用となります。
  • ・「免許人の業務区域内」…施設、ホールなど限られた業務区域、場所でのみ使用可能です。

便宜上、特ラ機構では「全国」=「移動局」、「免許人の業務区域内」=「固定局」としています。その理由は、当機構の運用調整に関する考え方によるものです。

移動局は運用連絡の提出が必要

コンサートやロケ、テレビ番組取材など全国を移動する、あるいは使用場所を変えて運用する移動局の会員からは、ラジオマイクを使用する前に運用連絡を頂いています。移動局は、使用日時や使用場所といったラジオマイクの運用される環境が、毎回、異なっていることがほとんどです。運用先の近くで他の特定ラジオマイクが使われているとすれば、混信の発生する可能性がありますし、その場合は特ラ機構から当事者である会員同士、あるいは放送局や他システムに対してお知らせをして、事前に周波数の調整を行うようお願いしています。電波法の主旨及び一般業務用という特定ラジオマイクの位置付けから、混信等のトラブルがあってはならないからです。

固定局の会員は、劇場やホールなど使用場所から移動することはありません。特ラ機構では運用調整システム上、固定局の会員の使用場所に対して、24時間365日、運用調整の網をかぶせています。そのため、運用連絡の提出は不要です。もちろん、他会員や放送局によって特定ラジオマイクがその使用場所へ持ち込まれる場合や、近くで使用される場合は、当事者同士で運用調整をするようお願いしています。

「免許人の業務区域内」で全国移動は不可

なお、劇場などの会員の中には、移動範囲が「全国」のマイクと「免許人の業務区域内」のマイクの双方を保有している例が幾つかあります。劇場の外へラジオマイクを持ち出して運用することがある場合です。移動範囲はラジオマイクごとに決めることができるので、ひとつの会員が両方の移動範囲を持つことに問題はありません。

ただし、「全国」で免許されているラジオマイクを固定施設で運用することは電波法上認められますが、「免許人の業務区域内」で免許されているラジオマイクを、全国において移動して使うことは電波法違反となります。きちんとしたラジオマイクの管理が必要です。

Q10.特定ラジオマイクの運用に無線従事者免許は必要?
A無線従事者でなくても特定ラジオマイクを運用できます。

無線設備の操作は、原則として総務大臣の免許(無線従事者)を受けた者でなければなりません(電波法、第39条)。

車に例えると車検証が無線局免許状で、運転免許証が無線従事者免許証にあたります。そして、バイク・普通乗用車・大型等免許証には運転できる範囲が決まっているように、無線従事者の資格にも操作できる範囲が区分されているのです。

例外的に無線従事者は不要

しかし、無線従事者でなくても無線設備の操作ができる例外も存在します。特定ラジオマイクはその例外に該当し、無線従事者でなくともその運用が可能です。

法的な根拠は以下の通りです。

電波法施行規則
第33条の2

(無線設備の操作の特例)

第4項

前各号に掲げるもののほか、
総務大臣が別に告示するもの

告示 240号三の5

(平成2年4月27日郵政省告示第240号)

5 プレストーク方式による無線電話の
送受切替装置及びラジオマイク
(電波を利用するマイクロホンをいう。)の
技術操作

表 無線従事者資格の種類

総合無線従事者 第一~三級総合無線通信士
海上無線従事者 第一~四級海上無線通信士
第一~三級海上特殊無線技士
レーダー級海上特殊無線技士
航空無線従事者 航空無線通信士
航空特殊無線技士
陸上無線従事者 第一~二級陸上無線技術士
第一~三級陸上特殊無線技士
国内電信級陸上特殊無線技士
アマチュア無線従事者 第一~四級アマチュア無線技士
Q11.無線局免許状にある「総合通信局」とは、どのような役所?
A日本国内の情報通信行政を司っている官公庁です。

特定ラジオマイクを使うには、無線局免許が必要です。その免許状を交付する官庁が、全国に11か所ある総務省総合通信局並びに沖縄県を管轄する総務省沖縄総合通信事務所(以下、総合通信局)になります。

申請は常置場所を管轄する総合通信局へ

総合通信局は、総務省の地方支分部局で、無線局免許などの許認可、情報通信の研究開発、不法、違法電波の取り締まり等、日本における情報通信行政全般を監理している官庁です。特ラ機構の前身である「特定ラジオマイク利用者連盟」設立時は郵政省(当時)の所管で、電気通信監理局、沖縄郵政管理事務所といわれていましたが、総務省に統合されてから上記の名称になりました。各総合通信局の管轄区域は、下の表を参考にして下さい。

免許申請等に関する手続きは、必要書類に特ラ機構加入証明書を添付して、申請者の常置場所(ラジオマイクを設置あるいは管理している場所)を管轄する区域の総合通信局に対して行います。例えば、本社が東京にあっても常置場所が大阪であれば、近畿総合通信局に申請することになるわけです。

総合通信局の特定ラジオマイク担当部署は、無線局の種別が「陸上移動局」となっていることから、無線通信部陸上課となります。また、放送用番組制作などラジオマイクの使用目的によっては、放送部放送課が担当することもあります。

表 各総合通信局の管轄区域

北海道総合通信局 北海道
東北総合通信局 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
関東総合通信局 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、山梨県
信越総合通信局 新潟県、長野県
北陸総合通信局 富山県、石川県、福井県
東海総合通信局 岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
近畿総合通信局 滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国総合通信局 鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
四国総合通信局 徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州総合通信局 福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県
沖縄総合通信事務所 沖縄県
Q12.免許の有効期間について詳しく教えて!
A有効期間は約5年。その後も継続運用するには免許更新が必要です。

ラジオマイクなどの無線局は、免許を取得して使用するのが大原則です(Q05参照)。しかし、免許を取得したからといって、それが永久に有効なわけではありません。

取得日によって有効期間が異なることも

免許の有効期間は無線局の種類ごとに定められており、特定ラジオマイクの場合は約5年となっています。また、それを超えて使用する場合、免許更新(再免許)を行う必要があるのです。法的根拠は以下のようになっています。

電波法

第13条 免許の有効期間は、免許の日から起算して5年を超えない範囲内において総務省令で定める。ただし、再免許を妨げない。

電波法施行規則

第7条 法(注:電波法)第13条第1項の総務省令で定める免許の有効期間は、次の各号に掲げる無線局の種別に従い、それぞれ当該各号に定めるとおりとする。

※1~5は略
 6 その他の無線局  5年 
(注:特定ラジオマイクはこれに該当)

また「電波法施行規則 第8条」を受けた「告示 第429号」により、他の無線局と共に6月1日を満了の日とし、この日に免許の切り替えを一斉に行なうことにしています。そのため、前日の5月31日までが有効期間です。このことから、最初に免許を取得した日付によって、有効期間に差が出てきます。

例1

・最初の免許取得日 平成29年6月1日  有効期間 平成34年5月31日まで→丸々5年間有効

例2

・最初の免許取得日 平成29年5月31日 有効期間 平成33年5月31日まで→5年を満たさずに有効期間が終了

なお、一度再免許をすると、次からは丸々5年間有効となります。

再免許を申請できる時期については、有効期間が切れる6か月前から3か月前までです。具体的には、有効期間が切れる前年の12月1日~翌年2月末までとなっています。

有効期間は無線局免許状に記載されているので、保有している特定ラジオマイクの有効期限を今一度確認して下さい。

Q13.国へ納付する電波利用料って何?
A不法電波の監視や免許事務の機械化などに使われています。

電波利用料は、無線局の免許を持っている人が、より円滑に電波を利用するために必要な経費を、無線局の規模に応じて負担する制度です。特定ラジオマイクはもちろん、放送局や業務無線、アマチュア無線など、原則としてすべての無線局が電波利用料を負担しており、直接、国へ納めることになっています。現在、特定ラジオマイクの電波利用料は下表のとおりです。

今や電波は幅広く利用されています。一方、無免許で無線機を使用したり(免許不要な無線局を除く)、他の無線局(特に消防、鉄道など公共性の高い無線局)へ妨害を与えるなどの不法行為も、一部で発生しているのが現状です。

そこで、監視システムを導入し、混信や妨害のないクリーンな電波利用環境を守ると共に、免許事務の機械化や効率的な電波利用の促進など、電波の適正利用確保を目的に1993年4月1日から電波利用料制度は導入されました。

インターネットやコンビニからでも納付可能

納付方法については、免許取得月日(応答日)後に発送される専用の用紙(納入告知書)により、1年単位(※)で納付します。銀行、郵便局等で納付しますが、「前納」という数年分をまとめて払う制度や、口座振替、インターネット等の電子納付など、さまざまな方法が存在。料額にもよりますが、コンビニエンスストアからでも納付が可能です。

表 特定ラジオマイクの電波利用料
使用する周波数帯 金額(1局あたり)
TVホワイトスペース帯 600円
特定ラジオマイク専用帯 600円
TVホワイトスペース帯+特定ラジオマイク専用帯 800円
1.2GHz帯 800円

※免許取得月が平成29年3月(有効期間は平成33年5月末日)の場合、最初に翌30年2月までの1年分を納めます。以後、3月(応答日)ごとに1年分ずつ納めていきますが、有効期間は平成33年5月末日なので、同33年3月~5月までの3か月分は、別途月割りで納めることになります。

Q14.送信機に付随する「技術基準適合証明証書」の内容とは?
A周波数範囲や製造番号などラジオマイクの性格が記載されています。

特定ラジオマイクを日本国内で使用する場合は、電波法に定めてある日本の技術基準に適合したワイヤレスマイクでなければなりません。その基準に適合していることを書面で証明するものが「技術基準適合証明証書(技適)」です。ワイヤレスマイクの顔ともいえるもので、マイクを購入すると必ず同封してあります。その他にも、適合品であることを証明するものに「技適マーク」があります。これはマイク本体あるいは送信機に貼付されているものです。

技適には、電波の型式、周波数の範囲、製造番号、技術基準適合証明番号などが記載されています。これにより、ワイヤレスマイクが無線機としてどういう性格をもっているのかが分かるようになっているのです。免許を取得する際には、この記載内容が免許状に反映されるので、大変重要なものといえます。紛失しないようにしましょう。

認証はモデルごとに証明

技適と似たものに認証(無線機が技術上の要件を満たしていることの検査・確認)があります。技適が1台ごとに証明するのに対して、こちらは製品のモデル(型番など)ごとに証明するものです。現在では、技適よりも認証が主流となっており、技適同様、重要な存在といえます。

これら技適や認証は、総務大臣から登録を受けた登録証明機関が検査、発行することになっています。

海外証明機関の認証も存在

最近では、相互承認(MRA)制度により、MRAの相手国で義務づけられている認証証明の取得を、自国の証明機関でできるようになりました。わざわざ相手国で認証を受けなくて済むので、手間やコストなどの削減というメリットがあります。

ワイヤレスマイクも、多くの海外メーカーがこの制度を取り入れており、日本国内で購入したワイヤレスマイクであっても、海外証明機関の発行した認証が付与されていることがあります。

日本との間で相互承認を締約している国は、欧州共同体(EU)のほか、アメリカ合衆国などです。

技適マーク。特定ラジオマイク本体には、このマークが貼付されており、日本の電波法に適合していることを証明しています。このマークのないラジオマイクは、日本国内で使用することはできません。

Q15.国内規格ではないラジオマイクを使用するとどうなる?
A不法電波を発信したことになり、電波法によって処罰されます。

日本国内では、日本の電波法に基づいたラジオマイク、イヤー・モニターのみ使用することができます。つまり、日本の規格外であるラジオマイクを使用すると、不法に電波を出したこととなり、電波法に基づき処罰されます。

罰則は「1年以下の懲役または100万円以下の罰金」と、決して軽いものではありません。また、公共性の高い無線局に妨害を与えた場合は罰則がさらに重くなり、「5年以下の懲役または250万円以下の罰金」となっています。なお、処罰を受けるのは、実際に電波を出した者が対象です。

技術基準に適合しないと免許されない

日本の電波行政は総務省が司っていますが、その核となる法律である電波法によると、特定ラジオマイクを始めとする無線局には、免許取得が義務付けられています(B型ラジオマイクのように、例外的に免許不要なものも存在)。

第4条 無線局を開設しようとするものは、総務大臣の免許を受けなければならない。 …以下、略…

さらに「第三章 無線設備 第38条 その他の技術基準」では、電波法に付随する関連法規などによって、無線局ごとに細かく電気的・技術的な基準(技術基準)が定められています。

第38条 無線設備(中略)はこの章に定めるものの外、総務省令で定める技術基準に適合するものでなければならない。

特定ラジオマイクなどの無線局は、免許申請後、この技術基準を満たしていることが審査によって証明されて免許状が交付されるしくみになっています(Q14参照)。

周波数や出力だけ合わせてもダメ

最近、海外やインターネットで購入した、あるいは海外から持ち込まれたラジオマイクは日本国内でも使えるのか、といった問い合わせがあります。海外製のラジオマイクはすべてダメということではなく、日本国内で使用する無線局は上記の手続きにより、日本の電波事情に合わせてから使用しなければならないということです。

なお、海外製品などで周波数帯域や送信出力など、機器の操作によって日本の電波事情に合わせることができる無線局(ラジオマイク)であっても、機器全体として諸制度をクリアしていなければ使用できません。

電波は目に見えないだけに、他の無線局に影響を与えても、逆に与えられても、実体を把握するのは困難です。

電波法第1条には、このようにあります。

(目的) 第1条 この法律は、電波の公平且つ能率的な利用を確保することによって、公共の福祉を増進することを目的とする。

携帯電話やラジオマイクなど、電波の恩恵なくして私たちの生活は成り立ちません。この法律の主旨をよく理解して、正しく使っていきたいものです。

Q16.特ラ機構が行っている「運用調整」の内容を教えて?
A会員同士や放送局などの障害・混信を未然に防止するための業務です。

特定ラジオマイクとエリア放送等の他システム(WS帯)やFPU(1.2GHz帯)は、それぞれ周波数を共用しているため、相互に「運用調整」を行い運用しなければなりません。運用調整とは、同じ周波数帯を運用するシステム同士の障害・混信を未然防止するためのものです。特定ラジオマイクの運用連絡・調整の中心となるのが特ラ機構で、その流れは以下のとおりとなっています。

運用周波数は現場で決めるのが原則

まず、会員が特定ラジオマイクの電波を発信する際、事前に日時や場所などの必要事項を特ラ機構にEメール・FAXで連絡して頂きます。連絡を受けた特ラ機構は、その内容について、他の会員やFPU・エリア放送等との障害・混信が起こり得るか否かを運用調整システム上で判断。起こり得ると判断した場合は「運用調整についてのお願い」を作成し、関係する各会員や放送事業者等へEメール・FAXにてお送りします。「運用調整についてのお願い」を受けた会員や放送事業者等は、相互に連絡を取り合い、障害や混信が起きないよう運用周波数などを打ち合わせるという流れです。現場で使われる具体的な周波数は、現場運用者同士の話し合いによって決めて頂くのが原則(「無線局運用規則」第19条の2など)ですが、条件によっては事務局が対応することもあります。

ちなみに、この運用調整を行うための経費は会員の皆様に負担して頂いており、1局あたり、移動局は年間3,600円、固定局は年間1,200円となっています(周波数移行に伴い、平成30年度は暫定の年額を適用している。詳細はこちら

Q17.なぜ特定ラジオマイクの運用時に運用連絡票提出の必要があるのか?
A他会員や放送事業者等との混信を避けるために必要です。

私たちが使用している特定ラジオマイクは、電波法上「一般業務用」として位置づけられています。つまり、コンサートや演劇、テレビ番組制作など、プロの音響の世界で使われることを前提としたシステムで、その性質上、混信や障害などがあってはならないものです。

限りある周波数を複数の利用者で共用

しかし、特定ラジオマイクに利用されている周波数には限りがあり、他の多くの利用者と周波数を共用していかなければなりません。また、同周波数帯にはラジオマイクばかりではなく、エリア放送(WS帯)や放送事業者のFPU(1.2GHz帯)も存在しており、運用する場所や時間、周波数が他の利用者・システムと重なった場合、混信・障害が発生することもあります。そのような事態を防ぐため、特定ラジオマイク運用の際には、事前に運用連絡票を特ラ機構へ提出して頂くことになっているのです(運用連絡票の提出は移動の会員のみ必要)。

運用連絡票を受けた特ラ機構では、関係する当事者に「運用調整についてのお願い」を発行。当事者相互間で使用時間や運用周波数を話し合う「運用調整」を行って頂き、混信することなく快適に特定ラジオマイクが運用されています。

なお、運用連絡票の書式は、トップページからダウンロードすることができます。

運用連絡票の記入は正確に

現在、特ラ機構が使用している「運用調整システム」では、運用調整業務を迅速かつ確実に対応するため、運用調整距離の判断をシステム化し、位置情報はGPS(緯度経度方式)を採用しています。この機能を間違いなく生かすために、運用連絡票の項目は正確に記入して頂くことが必要です。項目の記述漏れなどがありますと、事務局がご担当者へお問い合わせをすることになります。現場の皆様にもご迷惑がかかってしまうので、ご協力よろしくお願い致します。

Q18.どれだけ離れればラジオマイク同士は混信しない?
AアナログWS帯10mW(屋内×屋内)では200m以上と考えます。

特定ラジオマイクを使用するにあたっては、使用周波数が他者に対して混信妨害を与えないか確認した上で運用するのが原則です。

理論値などから設定

特ラ機構では会員の皆様から運用連絡を頂いた際、お互いに混信妨害とならない距離の基準を「運用調整距離」と呼んでいます。この基準は、理論計算値などから設定したものです。つまり、運用調整距離とは、近接でお互いに電波を出した場合、混信妨害が発生するか否かの境界の距離ということになります。ラジオマイクを使用する双方が、この運用調整距離より近い場合は混信妨害の可能性があり、それより離れていたら混信妨害がないと判断するというわけです。

会員の皆様から特ラ機構へラジオマイクの運用連絡票が届くと、運用調整システムへその内容を入力。運用調整距離を計算して、調整が必要か否かの判断をしています。ラジオマイクを使う双方が運用調整距離より近い場合は、「運用調整についてのお願い」を発行して、双方にお知らせをしています。

運用調整距離はさまざま

現在、様々なパターンの運用調整距離が設定されています。なぜなら、ラジオマイクの多様化が進んでおり、WS帯や1.2GHz帯、アナログ方式やデジタル方式、送信出力も10~50mWと実にさまざま。また、屋内使用か屋外使用かも含めて考慮しなければならないからです。さらには、FPUやエリア放送など他システムとの運用調整距離も考える必要があります。

ラジオマイク同士の運用調整距離の一例は、以下のとおりです(詳細はこちら)。

屋内×屋内

(アナ WS帯10mW)×(アナ WS帯10mW):半径200m (デジ WS帯50mW)×(デジ WS帯50mW):半径200m (デジ 1.2G帯50mW)×(デジ 1.2G帯50mW):半径200m

屋内×屋外

(アナ WS帯10mW)×(アナ WS帯10mW):半径300m (デジ WS帯50mW)×(デジ WS帯50mW):半径300m (デジ 1.2G帯50mW)×(デジ 1.2G帯50mW):半径400m

屋外×屋外

(アナ WS帯10mW)×(アナ WS帯10mW):半径400m (デジ WS帯50mW)×(デジ WS帯50mW):半径350m (デジ 1.2G帯50mW)×(デジ 1.2G帯50mW):半径450m

アナ=アナログ方式  デジ=デジタル方式

Q19.1.2GHz帯特定ラジオマイクと周波数を共用するFPUって何?
A中継現場で撮影した映像・音声を放送局まで伝送するシステムです。

FPUとは、放送事業者(NHKの各放送局と民間放送連盟参加の放送局)が取材現場から、映像・音声等の番組素材を中継基地局(放送局)などへ無線伝送するシステムです。映像と音声を送る送信部と、それを受ける受信部から構成されています。

「FPU」は「Field Pickup Unit」の略称で、この言葉が一般化する前は「ウォーキールッキー」と呼ばれていました(英語では「Microwave Link」と呼ぶのが一般的)。ちなみに、ARIB(一般社団法人電波産業会)標準規格表記では「テレビ番組素材伝送用無線伝送システム」、総務省データでは「取材現場と中継基地局などを結び番組素材を伝送する移動無線回線」と表記されています。

60MHzの帯域を2つに分割

FPUには幾つかの周波数帯が使用されていますが、特定ラジオマイクと関係があるのは1.2GHz 帯です。1.2GHz帯FPUは、駅伝やマラソンといったロードレースなどの中継に多用されます。それは、他の素材伝送手段(通信衛星や他周波数帯FPUなど)に比べて、移動しながらの長距離伝送に適しているからです。

具体的な周波数は1240~1300MHzに割り当てられており、その60MHzの帯域を「FL」と「FH」の2つに分けて使用されています。

FL : 1240~1260MHz  FH : 1260~1300MHz

Q20.電波を送信する時に注意しなければならないこととは?
A目的外使用の禁止や混信等の防止など、法令上の注意点があります。

特定ラジオマイクを使うにあたって、電波法など法令上の立場から注意しなければならないことがあります。条文を記して簡単に紹介しましょう。なお、下線及び注釈は筆者によるもので、注釈は特定ラジオマイクの場合を示しています。

●一般業務や放送事業以外は使えない

【電波法】(目的外使用の禁止等)

第52条 無線局は、免許状に記載された目的(※1)又は通信の相手方(※2) 若しくは通信事項(※3)(中略)の範囲を超えて運用してはならない。(以下、略)

※1…「一般業務用」または「放送事業用」   ※2…「免許人所属の受信設備」

※3…「音響に関する事項」、「放送番組素材の中継に関する事項」など

この条文は、「特定ラジオマイクは一般業務の音響や放送事業でのみ使いなさい」ということを示しています。つまり、店舗の呼び込みやカラオケボックス、駅の案内放送などの目的には、特定ラジオマイクは使えない可能性があるのです。

また、自らが免許人となっている特定ラジオマイクの送信機を、免許主体の異なるホールや劇場などへ持ち込み、そこに設置されている特定ラジオマイクの受信設備を使って利用することも禁じています。

●送信出力は免許状に記載の範囲を超えてはならない

【電波法】

第54条 無線局を運用する場合においては、空中線電力は、次の各号の定めるところによらなければならない。ただし、遭難通信については、この限りでない。

1.免許状等に記載されたものの範囲であること

2.通信を行うため必要最小のものであること

特定ラジオマイクの場合、空中線電力(=送信出力)はアナログ方式が10mW以下(1.2GHz帯は50mW以下)、デジタル方式が50mW以下となっています。つまり、電波が届かないからといって、空中線電力を10倍の100mWや500mWにして送信してはいけないというわけです。

また、1mWでも届く近距離でありながら、フルに10~50mW出すことも慎むべきとされています。

●お互いが混信しないように注意しなければならない

【電波法】(混信等の防止)

第56条 無線局は、他の無線局又は電波天文業務(宇宙から発する電波の受信を基礎とする天文学のための当該電波の受信の業務をいう。)の用に供する受信設備その他の総務省令で定める受信設備(無線局のものを除く。)で総務大臣が指定するものにその運用を阻害するような混信その他の妨害を与えないように運用しなければならない。(以下、略)

特定ラジオマイクの周波数は、多くの利用者(=免許人)で共用しています。ですから、他の免許人が使用中の電波に意図的に妨害してはいけませんし、お互いが混信しないよう注意して特定ラジオマイクを使って下さい、ということを示しています。

●不必要な特定ラジオマイクの運用はしてはならない

【無線局運用規則】(無線通信の原則)

第10条 必要のない無線通信はこれをおこなってはならない。(以下、略)

限りある周波数を多くの利用者で共用している特定ラジオマイクですから、必要もないのにマイクの電源を入れて電波を出してはいけません。不要な電波が出ている周波数では、近隣の他の利用者がその周波数を使おうと思っても、使えない可能性があるからです。

他の利用者のことも考え、必要な時のみ電波を出しましょう。

●電波を発射する前に他局へ混信を与えないよう確かめなければならない

【無線局運用規則】(発射前の措置)

第19条の2 無線局は、相手を呼び出そうとするときは、電波を発射する前に、受信機を最良の感度に調整し、自局の発射しようとする電波の周波数その他必要と認める周波数によって聴守し、他の通信に混信を与えないことを確かめなければならない。(以下、略)

2 前項の場合において、他の通信に混信を与える虞があるときは、その通信が終了した後でなければ呼出しをしてはならない。

この条文は、特定ラジオマイクは事前に運用調整が行われているとはいえ、送信機から電波を発射する場合、他の特定ラジオマイクやFPUなどに混信を与えないよう、受信機などを活用して事前に確かめて下さいということです。

Q21.多数のラジオマイクが運用されるイベントの運用調整方法は?
A幹事運用者を選出して周波数調整の要になって頂きます。

事務局が会員からの運用連絡を受理した際、混信の恐れがある場合には各運用者へお知らせをして、当事者間で打ち合わせ(運用調整)をして頂いています。原則、チャンネルプラン(周波数調整)も当事者間での作成となります。これは特定ラジオマイクの運用が運用者の責任で行われるものであり、その運用調整も運用者が主体となって行うべきものだからです。

基準となる目安は5社20本以上

しかし、当事者となる運用者が多くなるにつれて、この打ち合わせ作業も繁雑さを増していきます。そして、ついにはそれが不可能になることも考えられるのです。特ラ機構ではこのような場合を想定し「相互干渉を未然に防止するための周波数調整(チャンネルプラン)基準」を提唱。展示会などの大イベントでは、この基準に沿った運用調整をお願いしています。

基準では、目安として「運用者が4社以内かつ使用本数が19本以内」までは、通常どおり運用者の相互連絡による周波数調整としています。しかし、それを超える場合には相互に連絡を取り合うことが難しくなるため、運用者の中から幹事運用者を選出。調整の要になって頂き、スムーズに周波数調整を進めようというものです。

運用者同士の話し合いで選出

実際の流れとしては、各運用者は幹事運用者にチャンネルプランの作成を委任し、運用に関する情報を積極的に提供します。幹事運用者は、提供された情報を元にチャンネルプランを作成。一方、事務局は、運用者と幹事運用者間の情報のやり取りや作成されたチャンネルプランの通知、必要に応じてプラン作成の補佐も行います。

幹事運用者は、運用者同士の話し合いによって選出されるのが基本です。しかし、事務局からお願いする場合もあります。運用者が5社以上となるようなイベントでは、「幹事運用者をやってもいいよ」と事務局宛てにご連絡頂ければ幸いです。ご協力よろしくお願い致します。

Q22.TVホワイトスペース帯(WS帯)って何?
A地デジ放送波の周波数帯のうちラジオマイクとして利用可能な周波数帯です。

特定ラジオマイクの周波数帯のひとつです。このWS帯は、地上デジタルテレビジョン放送波(地デジ放送波)として割り当てられている周波数について、地理的・技術的条件により、特定ラジオマイクや他システムにも利用可能な周波数帯です。地デジ放送波は470~710MHzの240MHz幅の広い帯域を使用していますが、実際には地域毎にこの240MHz幅のうち幾つかの周波数を使用していて、地域ごとに空いている周波数が存在しています。

TVホワイトスペースとは、この利用されていない空きのチャンネルのことで、このWS帯を地デジ放送波に混信を与えないように他のシステムが活用する、電波の有効利用の仕組みです。

従って、特定ラジオマイクは地デジ放送波への混信影響の無い場所で利用することになります。

Q23.WS帯を利用可能な特定ラジオマイクの運用形態は?
A固定型や可搬型として利用することができます。

チャンネルリストにより、WS帯特定ラジオマイクは使用できる場所が指定されるため、使用可能な運用形態も限られます。ホール・劇場など、備え付けて運用されている「固定型」や、全国ツアーなど、機器をホール等に持ち込んで運用される「可搬型」といった運用形態では、WS帯を利用することができます。

一方、ロケなどで常に移動しながら運用される「移動型」については、運用場所が特定できないことから、チャンネルリストにて運用するWS帯は利用できません。移動型にて利用可能な周波数帯は、711~714MHzの特定ラジオマイク専用帯と1.2GHz帯になります。

なお、これらWS帯の運用形態を表す「固定型」や「可搬型」、「移動型」は、特ラ機構が運用形態を表すために便宜上使っている「移動局」と「固定局」、また、電波法上の「移動局」と「固定局」とも異なるものです(Q09参照)。

Q24.TVホワイトスペースチャンネルリストとは?
ATVWS帯を利用できる場所や周波数をリスト化したものです。

TVWS帯にて特定ラジオマイクを運用するにあたって、地デジ放送波へ混信影響を与えることなく運用できる場所・施設・周波数をリスト化したものです。このチャンネルリストは、総務省のWebサイトで公開されています。記載されている施設名の適用エリアにおいて、○印が付いているTVチャンネルが、特定ラジオマイクとして利用できる周波数です。

なお、チャンネルリストに記載されていない場所では、TV WS帯を特定ラジオマイクとして利用することは一切できません。そのような場所では、711~714MHzの特定ラジオマイク専用帯や1.2GHz帯を使用することになります。

●総務省「TVホワイトスペースチャンネルリスト」
http://www.tele.soumu.go.jp/j/ref/material/radio/index.htm
Q25.チャンネルリストの読み方について教えて!
A“○”の並び方で利用可能な周波数幅が変わるので注意が必要です。

総務省が公表する「TVホワイトスペースチャンネルリスト」には、13~52chまでのTVチャンネルが表示されています。このTVチャンネル1ch分は6MHz幅となりますが、実際には“○”の並び方で利用可能な周波数幅が変わります。

左右に“○”がない単独の場合、隣り合うTVチャンネルが地デジ放送波に利用されていることから、ガードバンド(以下GB)を設ける必要があり、両隣1MHzずつのGBにより、4MHz幅が利用可能です。“○”が連続する場合は、隣接のTVチャンネルが利用できることから、GBを設ける必要が無く、1MHz+4MHz+1MHzで、合計6MHz幅が利用可能となります。

Q26.チャンネルリスト「留意事項」の内容とは?
A“○”の並び方で利用可能な周波数幅が変わるので注意が必要です。

「TVホワイトスペースチャンネルリスト」の冒頭には、「留意事項」という適用の仕方や注意事項などの説明が掲載されています。これに基づいたチャンネルリストの適用の方法がありますので、複数のケースで解説します。

<チャンネルリスト適用ケース①>

同一施設内同一フロアへの適用可能例です。例えば、大ホールと小ホールが同一フロアにある場合、チャンネルリストの適用エリアに「大ホール」が載っていれば、小ホールが載っていなくても、大ホールで利用可能と示されたチャンネルをそのまま利用することができます。なお、小ホールについて、大ホールと同等以上の遮蔽損失が見込める構造、壁の構造や扉の構造が同等以上の場合に限ります(違う建物となってしまうと適用できません)。

<チャンネルリスト適用ケース②>

同一施設内にて、階数の異なるフロアへの適用可能例です。例えば下図において、3階にある「ホールB」がチャンネルリストに登録されている場合は、ホールBよりも低いフロアである「ホールC」と「ホールD」は「ホールBで利用可能と示されたチャンネル」を適用可能です。

一方、ホールBより高い場所にある4階の「ホールA」では、ホールBのチャンネルリストを適用することができません。ホールAでWS帯を利用したいという場合には、新たに「混信保護の検討」を行った上で、ホールAのチャンネルリストを追加する必要があります。

ラジオマイクの送信高は、高ければ高いほど電波がより遠くに飛びやすくなるので、地デジ放送波へ混信を与える可能性も高くなります。チャンネルリストに登録されているフロアと階数が同じか、低い場所のみが同じリストを適用できるというのはこういう理由があるからです。

なお、この場合もホールC~Dがホール Bと同等以上の遮蔽損失が見込める構造 (壁の構造や扉の構造が同等以上等)の場合に限る、という条件がありますのでご注意下さい。

<チャンネルリスト適用ケース③>

チャンネルリストの区分「屋外」の利用可能チャンネルは、同一施設内にある建物の1階フロアにおいても適用することができます(地下フロアも可)。つまり、「屋外」の区分でチャンネルリストの記載がある施設においては、この敷地内に建つ建物名が「適用エリア」になくても、「屋外」で利用可能と示されたチャンネルを建物内の1階部分、もしくは地下フロアでも利用することができるわけです。

一方、2階や3階といったラジオマイクの送信高がより高くなるフロアは、地上レベルである「屋外」よりも電波が飛びやすくなるので、地デジ放送波へ影響する可能性がより大きくなります。そのため、「屋外」の利用可能チャンネルは、2階以上のフロアに適用することはできません。