2014年7月1日 第139号  前 目次 次
夢がひろがる、未来へつながる、ICTスマートライフ
 6月1日は「電波の日」です。電波の利用が国民に開放されたことを記念するこの日にちなんだ「情報通信月間」参加行事として、日本各地で関連するイベントが行われました。その中から、2つを紹介しましょう。

●電波の日記念講演会

 平成26年5月26日、一般社団法人電波産業会の主催する講演「電波の日記念講演会 -電波利用の現状と今後の展望-」が明治記念館(東京都港区)で開催されました。講演会では「電波利用の現状と今後の展望」をテーマにして、総務省、電気通信事業者、放送事業者、無線機器製造業者の各分野のトップを講師に迎え、それぞれの立場で講演されました。

①基調講演 電波利用の現状と今後の展望について
総務省 総合通信基盤局長 吉良裕臣 氏

 「電波利用の現状」として、携帯電話等がいかに発展し、それに伴い移動通信のトラフィックも年々増加している現状を紹介。特に直近1年では、約1.7倍もトラフィックは増加しており、これはスマートフォン利用者の増加や、動画等の大容量コンテンツの利用増加が主要因と推測されるとのことでした。
 また「電波法の一部改正について」では、電波利用料の料額(平成26年~28年度の3年間)の見直しについての説明があり、優先順位が高い無線局から保護されないエリア放送について、より低廉な料額とすることなどが紹介されました。

②「モバイルイノベーションへの挑戦」
 ~スマートライフの実現に向けて~
株式会社NTTドコモ 代表取締役社長 加藤薰 氏

 国内外のモバイル市場動向や激増するトラフィックの現状を踏まえた上で、2014年夏からスタートする高音質通話がウリの新サービス「VoLTE」を紹介。また、2014年に割り当て予定の3.5GHz帯を活用し、既存の帯域とキャリアアグリゲーションを行うことによって225Mbpsを実現する「LTE-Advancedシステム」や、次世代移動通信「5G」についての解説もありました。

③「FM放送の現状と課題」
株式会社エフエム東京 代表取締役社長 千代勝美 氏

 収益は2011~2013年にかけて増収となっており、これは東日本震災によってラジオ放送が見直されている傾向としました。その上で、非常時に放送を継続するための電源、緊急地震速報への対応、キー局被災時の発局の変更など、さまざまな対策について解説されました。  また“放送と通信の融合”として、SNSといった外部サービスとシームレスに連携することによって、これまで一方的なメディアであったラジオ放送が「リスナー⇔放送局」、「リスナー⇔リスナー」といった双方向メディアに生まれ変わることができるとし、その実例が紹介されました。

④「暮らしの文化と電波需要の爆発的拡大」
ソニー株式会社 業務執行役員SVP 中長期技術、技術渉外担当 島田啓一郎 氏

 暮らしと電波は、スマートフォンとソーシャルメディアの普及により四六時中、密接な関係になり、今後もその傾向は拡大すると分析。技術とインフラの進歩によって生活が便利になると文化が創造され、それによって市場も創造されるとしました。
 データサイズ・発信者数・利活用産業の3種の拡大で、電波需要は10年千倍の勢いで爆発的に増大する中、「多い」「安い」「速い」という消費者視点の電波利用に応えるため、時間・場所・周波数による融通や有線の活用といった「融通」を実現させる必要があることも紹介されました。
(参加/事務局 武藤・石川)

●平成26年度情報通信月間参加行事セミナー

 平成26年6月19日、当機構と総務省関東総合通信局が共催で「情報通信月間参加行事セミナー」を同局会議室(東京都千代田区)で行いました。
 セミナーの構成は以下のように2部構成となっており、特定ラジオマイクを取り巻く周波数移行の現状やこれからの運用調整について、さらには最先端の電波利用についても分かりやすく解説がありました。
<第一部>
「移動通信の最近の動向と特定ラジオマイクの周波数移行について」 講師:佐藤英知氏(総務省総合通信基盤局電波部移動通信課 課長補佐)
<第二部>
「新周波数帯対応統合データベースシステムの概要」 講師:中島進(一般社団法人特定ラジオマイク運用調整   甲田乃次(一般社団法人特定ラジオマイク運用調整機構)

 当日の詳細は、次号の特ラ機構レポートで紹介する予定です。

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