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6月13日(水)〜15日(金) 
池袋サンシャインシティ・コンベンションセンターTOKYO 文化会館2F
 ワークショップ会場の「音の歴史50年」は放送局出身のOBを中心に、ステレオ放送が開始されたころの講師のみなさんが録音した音を聞かせてもらいましたが、40数年前の音とは思えない素晴らしいものでした。
 プロデューサー 加藤茂樹(東京放送 OB)、講師 浅見啓明(NHK OB)、菊田俊雄(キングレコードOB)、佐藤晋(ニッポン放送OB)、若林駿介(文化放送OB)
 以上のような錚々たるメンバーで各講師の持ち寄りによる音源を解説つきで試聴いたしました。AM放送全盛時代に活躍された方々で、自然話題は当時の苦労話から始まり、2局間のステレオ、3局間の3次元放送の全容を知ることができました。
左から浅見啓明氏、若林駿介氏、菊田俊雄氏、佐藤晋氏、加藤茂樹氏

(1)浅見啓明 AM2波ステレオ放送(第1、第2放送)
三善晃作曲「オンディーヌ」。これは浅見氏の若いころの録音で、現在のようなマルチレコーダーのないころで、ダビングの連続であったという。この作品はイタリア賞を受賞。
(2)佐藤 晋 民放2局(左ニッポン放送、右文化放送)
佐藤氏のレギュラー番組、ナショナル・ステレオ・ホールから滝廉太郎作品集より、荒城の月 団伊久磨編曲、指揮。ソプラノ三宅春恵。2波ステレオ放送の左から、右からとアナウンスがあり懐かしい思いだった。
(3)菊田俊雄
菊田氏のみレコード会社出身です。英国デッカのHi−Fi録音やアメリカのコマンドの35mm磁気フィルムの音のことなど、アナログ時代のなつかしい話であった。#&♭と東京キューバンボーイズの2バンドの録音を聞かせていただきました。
(4)若林駿介
日本のステレオ録音は放送から始まった話。アメリカへ自費で留学、ブルーノ・ワルターの録音セッションに参加。日本コロムビアと文化放送で本格的なステレオレコード録音を開始。その中から‘61年録音のスッペ作曲「軽騎兵序曲」を日本フィル、渡辺暁雄指揮のワンポイント録音を聞かせていただきました。素晴らしい音でした。
(5)加藤茂樹
TBS1局でのステレオ放送を試み、コールサインはJO2KRであったそうです。本格的なJAZZをサンケイホールで録音するチャンスに恵まれましたが、使いたかったコンデンサーマイクがどうしても使わせてもらえず、やむなくRCA77DXを数本立てて録音した。懐かしいA・ブレーキー&ジャズメッセンジャーズのモーニンを聞かせてもらったが、パンチの効いた素晴らしい音でした。

 以上が当日のワークショップの概略です。機材の不十分な時代に皆さん方がどのように録音されたか、たいへん有意義なお話でした。わたしもモノーラル、ステレオの同時録音の長い経験があり、懐かしく拝聴することが出来ました。
まとめ  大野 正夫