特定ラジオマイク利用者連盟
発足10周年記念セミナー
目次へ 前へ 次へ

 さる7月17日、東京プリンスホテルにおいて、郵政省電気通信局移動通信課 小貫 義則氏により、『移動通信・放送分野の最近の動向』と題して、連盟発足10周年記念セミナーが行われました。会場には会員各社、放送局、メーカーなど、大勢の方にご来場いただきました。 電波の基礎から最新技術まで、 多岐に渡る内容をお話しいただきましたが、 その中からいくつか紹介させていただきます。

1 電波の特性  電波は光と同じ電磁波であり、30万Km/sの速度をもつ。また高い周波数(短い波長)ほど直進性が強く、低い周波数は障害物の後ろに回り込むという伝搬特性がある。情報伝送容量も、 低い周波数は少なく、 高い周波数ほど大きくなる。

2 我が国の移動通信システムの進展  モバイルウェッブサービス利用者数は携帯電話等の普及にともない、指数関数的に増加している。ただ、これまでの移動通信システムは、通信速度その他に制約があり、それらを解決すべく、第三世代移動通信システムとしてIMT-2000(International Mobile Telecommunications2000)を中心に、MMAC(Multimedia Mobile Acce ss Communication systems)、およびITS(Intelligent Transport Systems)といった、今までのディジタルを進化させたシステムサービスが、順次開始される。これにより
 ・ データ通信の高速化、マルチメディア移動通信サービスの提供
 ・ 世界各国で使用可能(国際標準化に向けて調整中)
 ・ 固定網並の高品質な音声サービスの提供
 ・ いつでも、どこでもマルチメディア通信を取り扱うことができ、光ファイバとシ
  ームレスな接続が可能な超高速・高品質な移動体通信システムの実現
 ・ 高度な道路交通システムによる、交通事故、交通渋滞の緩和等、地球環境問題を
  も含めた快適なカーライフの追求
が可能になり、郵政省としても通信技術の開発や、民間主導で設立されたMMAC推進協議会の活動をサポートするなどして、積極的に取り組んでいる。

3 小電力無線局と電波法  小電力無線局は0.01W程度の小さな電力を持った無線局で、平成元年に制度化。用途は多種多様で、免許を要するものと要しないものとがある。特定ラジオマイクは広い帯域を使って大切な音楽を伝えるということから、許可制(免許を要する)をとっている。これは国がきちんと保護をするということでもある。免許を要する無線局についても、時代の流れや規制緩和の観点から、国の管理が必要ないとなれば免許を要しなくなることもある。
  特定ラジオマイクはどうなるかというのは、皆さんと相談しなければならないが、大事な用途に使われるものなので許可が望ましいと思っている。

4 放送のデジタル化に向けて  放送をデジタル化するメリットは、品質の良い画像、音声を、狭い周波数帯域でサービスすることができるということ。アナログと違い、情報を圧縮して送ることができるため(映像は1/50〜1/60、音声は1/10〜1/20位)、 多チャンネル化の実現や、通信ネットワークと組み合わせたサービスが可能になる。 雑音の影響を受けにくくなるため安定した映像、 音声が受信できるので、車中でのテレビ映像の質も良く、100Km/hで走行しても画像がはっきりしている。

5 世界各国のデジタル放送の動向  イギリス、アメリカ、スエーデンではすでに放送が始まっている。日本では、 地上デジタルテレビジョン放送の2003年一部地域での開始が期待されており、2010年頃の完全デジタル化をねらっている。 音声放送については、2002年頃の開始予定。アメリカは、デジタル放送をいちはやく開始したが、アナログの技術をベースにしたので(シングルキャリア)、技術面に多少問題があり、同国内でも不安視されている。
 日本はヨーロッパの方式(マル
チキャリアOFDM方式)をベースに、最新の方式を取り入れているため、他にない特徴を備えている。
 
6 新しい技術の台頭に対する問題点  最近、携帯電話等の音がうるさいとか、音の問題がクローズアップされている。郵政省は、これら機器のどこでも通信できるという利便性と、静けさを求めるという権利を考慮して、携帯電話等の通信を抑止する装置を芸術性を求められるようなホール、劇場等限られた場所約40カ所に、実験局として免許を出している。
 また、電磁波が人に与える影響については、郵政省でも予算をとって研究しているが、 これは一国だけの問題ではなく、 WHOでも行っており、そこでの基準を取り入れたりして積極的に取り組んでいる。
 電波が人工的に使われて100年位しか経っていない。 電波と人間との関係には、 未だ不明な部分があり、そういうところの解明にも力を注いでいる。
目次に戻る 前へ 次へ