2017年7月1日 第157号  目次 次
平成29年 一般社団法人特定ラジオマイク運用調整機構 通常総会 報告
平成29年6月9日(金)、東京都中野区の「中野サンプラザ」において、標記に関する各種議案を審議し、関連行事を実施した。
1.通常総会14:00~15:30 11階 「アネモルーム」
 平成28年度事業報告、同年収支決算と監査報告、平成29年度事業計画(案)、
同年収支予算(案)、理事長の交代
出席者 602名
2.第17回技術賞表彰式15:45~16:45 11階 「アネモルーム」
出席者  72名
3.総会セミナー
「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における無線利用について」
 15:45~16:45 11階 「アネモルーム」
出席者 91名
4.懇親会18:00~20:00 14階 「クレセント」
出席者  97名

1.通常総会

 木村事務局長から、総会員数1195のうち、出席者32名、委任状提出者570名で、定款第21条の通常総会開催のための議決権の過半数を有する正会員の出席があり、総会は成立するとの報告があった。
議長選出
 八幡会長の挨拶の後、木村事務局長から、「定款第19条により通常総会の議長は理事長と定められている。」との説明があり、田中理事長が議長に選出された。
司会の木村事務局長 議長の田中理事長 挨拶する八幡会長(右は朝子夫人)
第1号議案
 議長:平成28年度はアベノミクスの影響でいくらか今後の景気回復に期待出来るのではないかという形で出発しました。後半にはアメリカ大統領にトランプ氏が就任し、その一挙手一投足の全てが話題になりました。
 特定ラジオマイクについては周波数の移行が本格化し、会員の皆様の絶大なご協力のおかげで、仕上げの段階まで到達したのではないか思っております。3年後には東京オリンピック、パラリンピックが開催されますが、その時は「特ラ機構」が培ったシステムによって、世界の皆様により良い音を伝えたいと願った1年でした。
「平成28年度 業務報告」
1.会員数と所有特定ラジオマイク局数
2.運用連絡・調整
3.周波数移行に関する事項
4.事務局要員体制
5.情報収集と調査研究
6.理事会、各委員会並びにプロジェクト
7.組織と管理
   以上の報告を行った。
監事の伊藤氏(左)と國枝氏
「平成28年度収支決算報告並びに監査報告」
 収支計算書、貸借対照表、正味財産増減計算書の内容については木村事務局長から報告を行い、監査報告は監事の伊藤、國枝両氏を代表して、伊藤監事が行った。
 質疑応答を経て、上記の第1号議案は異議なく承認された。
第2号議案
渡邉専務理事 2号議案は渡邉専務理事と木村事務局長が説明を行った。
 国際的にはテロの問題が大きく渦巻く中、先進各国では自国優先の保護主義が横行している。日本国内においては景気への影響に加え、少子高齢化社会が重くのしかかり、今後の日本の労働力をどう支えていくのか悩ましい問題となっている。
 明るい話題としてはラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピック競技大会の開催だ。多種多様な人間が集い、文化が交わり、世界が平和に向かう何かが生まれる場所になることを期待している。人や文化だけでなく世界中から様々な無線機器が集まってくるなかで、特定ラジオマイクは開会式や閉会式を含めてとても重要なワイヤレスシステムとなる。会員と共により一層安全で安心な運用調整を目指して、文化芸術に貢献していきたいと思っている。

「平成29年度事業計画(案)」
 検討課題であるTVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会(以下略称、協議会)の事務局一元化については、周波数の完全移行の時期に向かって、協議会事務局(電波技術協会)との分科会を再開し、確実に歩みを進めていかなければならない。そうした情報はすべて理事会にて報告する他、会報やホームページを通して会員に伝えて行くとの説明があった。
 次年度の運用調整費については、公共施設等、予算で動いている会員に先行して費用を伝えているため、平成30年度の運用調整費に関しても、協議会への費用負担の報告と共に、平成29年度の事業計画案の終わりに説明するとのことであった。

  1.会員数と所有する特定ラジオマイク局数
  2.運用連絡・調整と障害・混信について
  3.免許申請
  4.システムについて
  5.周波数移行対策プロジェクト
  6.ホワイトスペース運用者認定制度(仮称)検討委員会
  7.周波数移行に関する課題
  8.事務局体制
  9.情報収集と調査研究
  10.理事会、各委員会及びプロジェクト
  11.組織と管理
以上の項目の報告を行った。

議長席(右)と事務局席 「11.組織と管理」の中で、渡邉専務理事より平成29年度の運用調整費に関わる局数のカウント方法変更の説明と、平成30年度の運用調整費案を設定する前提となる、協議会への費用負担についての説明(総会資料-1参照)があった。
 5月29日に開催された臨時理事会(総会資料-2参照)では、この費用負担金を組み入れ、修正された「平成29度収支予算案(修正案)」(総会資料-3参照)と、このような費用負担の実情を加味した、平成30年度の運用調整費(総会資料-4参照)の提案が行われ、決議された。
平成29年度収支予算(修正案)」
収支予算(修正案)の内容については、松崎主査が報告を行った。

質疑応答を経て、第2号議案、及び平成30年度運用調整費案は異議なく承認された。
第3号議案
 理事長の交代について、田中理事長より渡邉専務理事が理事長に選任された旨を報告し、異議なく承認された。

理事・監事の皆様
 以上で、全ての議案が承認され、議長より議事進行に参加された会員に謝辞が述べられた。
 その後、平成29年度の第1回理事会が開催され、理事長交代の報告があった。
 総会再開後、演壇の前に、新理事長、理事、監事の面々が並び、代表して渡邉新理事長から「会員の皆様と一体となって尽力していく」という挨拶があり、平成29年度の通常総会は閉会となった。
 (今年度は理事長の交代のみで、理事・監事は前年からの引き継ぎとなっている)
総会報告 終了

2.第17回技術賞表彰式

 総会にて新理事長に就任した渡邉技術賞委員会 委員長が、作品紹介とインタビューを交えて表彰式を行った。
 八幡会長も朝子夫人と参加され、自ら八幡賞を手渡された。
 ※詳細は、特ラ機構レポート158号に掲載します。
八幡会長を囲む受賞者の方々

3.総会セミナー
  「東京オリンピック・パラリンピック競技大会における無線利用について」

 開催まで約3年と迫っている「2020年 東京オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、東京五輪)」を見据え、今年の総会セミナーでは東京五輪での無線利用について、佐藤善昭さん(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 テクノロジーサービス局情報基盤部)をお招きして、最新の状況や今後の動きについて講演して頂きました。概要は次のとおりです。
講師の佐藤善昭さん(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会 テクノロジーサービス局情報基盤部) ロンドン大会や前回のリオデジャネイロ大会においても、非常に多くの無線局が使用され、東京五輪でも期間中、海外の運営関係や競技団体、報道関係者などが多様・多数の無線システムを使用すると見込まれる。東京五輪で使用される無線システムは、大きく以下の3つが挙げられる。
  • ① 放送関連 … 世界各国へ放送中継や取材をするための無線システム。ワイヤレスマイクやワイヤレスカメラ、放送素材伝送など。
  • ② 競技関連 … 時間計測や判定など、競技運行等に使用する無線システム。また、各国選手団が持ち込む無線システム。審判間の連絡用無線や選手の管理データ・計測データの伝送システムなど。
  • ③ 大会運営関連 … 競技場内や競技場間での、運営側スタッフの連絡等を行うための無線システム。
 この他にも、観光客が使用する携帯電話やWi-Fiなども考えられる。
 これらの無線システムの円滑な運用に向けて、総務省でも検討を進めており、東京五輪で割り当てを行う周波数案をまとめてパブリックコメント(※)を実施した。今後は、国内にある既存の無線システムとの共用条件など、技術的な検証を進めていく。
 最後に、実際に無線局免許が付与され運用が開始された際には、東京五輪関係の無線局同士はもちろん、それ以外の既存の無線局との周波数調整が必須であり、特定ラジオマイクのユーザーにも協力を仰ぎたい旨のお話がありました。
 本セミナーの参加者は会場を埋め尽くす91名と大盛況で、関心の高さが伺えました。東京五輪期間中においても特定ラジオマイクが円滑に運用できるよう、当機構としても関係諸団体と連携して2020年を迎えたいと考えています。
 ※ 総務省「2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会で割当を行う周波数(案)についての意見募集」 http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban09_02000213.html
セミナー会場

4.懇親会

新任の挨拶をする渡邉理事長 木村事務局長の開会の言葉に続き、渡邉新理事長の新任の挨拶がありました。その後、ご来賓としてご参加頂いた、総務省総合通信基盤局 電波部移動通信課 課長補佐 伊藤 英知様、同 第一技術係 係長 和田孝行様、同 第一技術係 山岸 総様、同 計画係 課長補佐 田中隆浩様、総務省関東総合通信局 無線通信部 部長 林 義也様、同 陸上第三課 課長 近藤静也様、同 グループリーダー 金子義政様が紹介されました。
来賓のご挨拶を頂いた伊東英知様 来賓のご挨拶は、総務省総合通信基盤局 電波部移動通信課 課長補佐 伊藤英知様より、「皆様のご協力もあり、周波数移行に関しては完了間近の段階に来ております。TVホワイトスペースのチャンネルリストの施設については引き続き、利用環境を整えていきたいと思っております。ラグビーワールドカップや東京オリンピック・パラリンピックでも特定ラジオマイクは重要な無線局システムとなり、大量の無線局が使用されますので、周波数の捻出・確保に向けて総務省も尽力して参ります。各種大会の成功に向けて、運用連絡をはじめ、皆様のご協力とご支援を頂ければと思っております。」とのお言葉を頂きました。
懇親会場乾杯のご発声をされた信井文夫様
 続いて、技術賞受賞者の紹介を表彰式でナビゲーターを務めた女優の日沼さくらさんと渡邉技術賞委員長(当機構 新理事長)が行い、壇上に受賞者の笑顔が勢揃いしました。その後、乾杯のご発声を映像新聞社 代表取締役会長の信井文夫様より頂き、懇親会となりました。
 中締めは田中前理事長が力強い一本で締めて、平成29年通常総会の懇親会は、お開きになりました。  
技術賞受賞者と司会の日沼さくらさん(左端)と渡邉理事長中締めを行った田中前理事長

【総会資料】

総会資料-1

会員各位

TVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会(WS協議会)への
費用負担について

当機構とWS協議会との関係
 TVホワイトスペース帯や1.2GHz帯は、特定ラジオマイクやエリア放送、FPUなど様々な無線システムで共用しています。これら異なった無線システム間の運用調整を行うため、平成25年、現在の「TVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会」が設立されました。同協議会は、当機構や放送事業者、エリア放送事業者、その他関係団体などで構成されております。
 当機構は、WS協議会事務局のラジオマイク等運用調整担当として機能しているほか、会員として同協議会に加入しています。特定ラジオマイクの免許人である当機構会員の皆様は、当機構を通してWS協議会へ団体加入しているというかたちになります。
WS協議会における費用負担の問題
 新周波数帯へ移行したことにより、特定ラジオマイク同士はもとより、FPUやエリア放送などの間で運用調整を行うための新たな運用調整システムが必要になりました。これらを構築するための費用約4,000万円は、周波数移行における終了促進措置の一環として(一社)700MHz利用推進協会が負担をして、構築された同システムはWS協議会の資産となりました。また、WS協議会の初期費用を捻出するため、WS協議会の規約における「免許人登録費(1免許人あたり13,000 円)」と「免許登録費(1免許あたり1,000 円)」についても、終了促進措置の対象となった免許人(当機構会員と放送事業者)のものに限り、(一社)700MHz利用推進協会が負担をしています。
 一方、ランニングコストである新たな運用調整システムの維持・管理費用については、WS協議会の会員が負担することになりました。当機構の負担分としては、当機構会員の皆様から納めて頂いている運用調整費のうち、現状、特定ラジオマイク1局につき年間660円をWS協議会へ納めています。
以上
総会資料-2

平成28年度 臨 時 理 事 会

1.日 時平成29年5月29日(月) 午後2時~4時
2.場 所「中野サンプラザ」6階バードルーム
3.出席者(会長・理事長・理事・監事・顧問総数24名)
 (出  席)小俣公洋、北口紀雄、小間新五、田中章夫、津田浩之、西澤勝之、
萩原桂吾、渡邉邦男
伊藤博、國枝義久(監事)
石戸喜二(顧問)
 (委任欠席)石橋透、上田好生、小野良行、金光浩昭、鈴木久利、東井幸吉郎、
則行正信、橋本喜代志、橋本秀幸、右田研介、矢野学、八幡泰彦、
吉田廣嗣
4. 議 題
  • ① 平成30年度の運用調整費について(別紙資料:平成30年度の運用調整費)
     周波数移行による会員の経費負担軽減策として、毎年暫定単価を決定している。総会での報告、官公庁関連の予算で動く会員への予算書発送の都合があり、平成30年度運用調整費単価の審議をした。
     別紙資料として事務局から提出した案について、既定の「移動」「固定」の区別だけで対応する不公平の是正、予算的に暫定単価の継続が困難な現況の報告をし、新たに、周波数帯別に設定した新提案を審議し、採決した。
     投票権21、賛成19、反対1、棄権1 で議決されました。
  • ② 平成29年度収支予算案の修正について(別紙資料:修正案)
     TVホワイトスペース等利用システム運用調整協議会(TVWS協議会)への負担金の内、移行には関係の無い新規加入の「免許人登録費(13,000円/1免許人)」と「免許登録費(1,000円/1免許)」の整理をし、未払だった金額を納入するため平成29年度収支予算案の修正案を審議し、承認された。
総会資料-3

平成29年度収支予算案

(単位:千円)
収 入 の 部 金  額 支 出 の 部 金  額
 1. 入  会  金  収  入 400 1. 給  料   手  当 55,000
 2. 年  会  費  収  入 58,220 2. 法 定 福 利 費 7,000
 3. 運 用 調 整 収 入 56,898 3. 福 利 厚 生 費 3,000
 4. 免許関係書類取扱収入 2,617 4. 広 告 宣 伝 費 2,000
 5. 雑       収       益 1,137 5. 支 払 手 数 料 1,500
 6.  前期繰越収支差額 33,068 6. 図     書     費 300
7. 交     際     費 300
8. 旅 費 交 通 費 3,000
9. 通     信     費 3,500
10. 消  耗   品  費 3,000
11. 租  税   公  課 4,000
12. 賃     借     料 5,000
13. 修     繕     費 500
14. 水 道 光 熱 費 600
15. 印 刷 製 本 費 3,000
16. 諸     謝      金 500
17. 会     議     費 3,000
18. セミナー事業費 1,000
19. 諸     会     費 800
20. 雑             費 2,000
21. 特ラ機構 表彰費 1,000
22. 委託費 1,500
23. 備品購入費 3,000
24. システム購入費(ソフトウェア) 4,000
25. システム管理費 2,000
26. 法人税・住民税・事業税 70
27. 協議会負担金 30,513
28.  次期繰越収支差額 11,257
当期収入    合   計 152,340 当期支出    合    計 152,340
  • 入会金・年会費 :年度始 1,195加入、新規加入正会員20を予定
  • 免許関係書類取扱費 : 新設300局、再免許71社(団体)1,450局その他免許変更100局を予定
  • 給料・手当:世代交代を見据えた事務局の繁忙解消として局員1名の増加分を計上
  • 広告宣伝費 : ホームページ新開設、 隔月更新費用及びグレードアップ費用
  • 支払手数料 : 事務局運営のための各申請及び届出、あるいは指導に係る費用
  • 会議費 : 総会・理事会他各委員会及びFPU・ラジオマイク運用連絡懇談会費用等を予定
  • セミナー事業費 : 総会セミナー、特ラ機構技術セミナーの開催、関連展示会参加を予定
  • 特ラ機構表彰費 : 特ラ機構技術賞表彰に係る費用を計上
  • 備品・システム購入費 : 周波数帯移行及びサポート終了によるシステム対応、構築費用
  • システム管理費:特ラ機構システム保守及び改修
総会資料-4

平成30年度の運用調整費(案)


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