ホワイトスペース「チャンネルリスト」とは?
ホワイトスペースにおいて特定ラジオマイクが使用できる場所とチャンネルを示した「チャンネルリスト」が公開されました。しかし、リストにはさまざまなルールが存在するので、読み解くのは難しいかもしれません。そこで、リストを作成した総務省にその解説をして頂きました。

運用場所・チャンネルが示された
「チャンネルリスト」

周波数移行後の特定ラジオマイクは、1.2GHz帯やTVホワイトスペース、710〜714MHzの周波数を使用して運用して頂くことになります。移行先周波数の1つであるTVホワイトスペースでは、地上デジタルテレビジョン放送(以下、地デジ放送)として使用されている周波数もあるので、特定ラジオマイクを使用する場合、この地デジ放送の受信に支障を与えないよう運用しなくてはなりません(周波数割当上、地デジ放送は特定ラジオマイクより優位であるため)。そこで、総務省では、特定ラジオマイクの運用が想定される場所(施設等)で、地デジ放送に影響を与えずに使用可能なチャンネル(周波数)をリストとしてまとめた「チャンネルリスト」を作成しました。

TVホワイトスペースとは

本来、地デジ放送用として割り当てられている周波数について、地理的条件や技術的条件により、特定ラジオマイクやエリア放送など、他の目的にも利用可能な470MHzから710MHzまでの周波数をいいます。

「チャンネルリスト」を閲覧するには?

「チャンネルリスト」は、総務省のWebサイト「電波利用ホームページ」(http://www.tele.soumu.go.jp/)内の「特定ラジオマイクのTVホワイトスペースチャンネルリスト」(http://www.tele.soumu.go.jp/j/ref/material/radio/index.htm)からダウンロードし、その内容を確認することができます。

「電波利用ホームページ」からチャンネルリストをダウンロード可能。リストはデジタルとアナログに分かれている(コラム参照)

アナログorデジタル リストが分かれている理由

 チャンネルリストは、“デジタル”特定ラジオマイクと“アナログ”特定ラジオマイクの2つに分かれています。使用可能チャンネルについても、それぞれ数が異なっていますが、これには以下のような理由があります。

  • @ 送信電力について、“デジタル”(最大50mW)は“アナログ”(最大10mW)と比べて高出力。
  • A 同時使用可能本数について、“デジタル”は“アナログ”より多く使うことができる(その結果、全体としての電波のパワーが大きくなる)。
 以上のことから、“デジタル”の方が地デジ放送へ与える影響が大きく、使用可能なチャンネル数も異なっていることから、リストは分かれているのです。

「チャンネルリスト」を読み解くためのポイント

ダウンロードした「チャンネルリスト」を開いてみると、ホワイトスペースを使用できる施設名・住所・屋内や屋外の区分・使用可能チャンネルなどが一覧となって表示されます。各項目について、それぞれ読み解くためのポイントを紹介します。

●チャンネルリストの例(一部)
@ 「屋内」と「屋外」の区分
 屋内では、建物の壁等による遮へい損失が考慮できる(特定ラジオマイク側電波の外部への影響が少なくなる)ため、屋内と屋外とを区別してチャンネルリストを作成しています。ちなみに、ガラス張りの吹き抜けとなっているようなスペースでは、屋内であっても遮へい損失を考慮しない“屋外”となる場合もあることから、屋外において使用可能なチャンネルリストも作成しています。
A 具体的な場所が記載されている場合
 「小ホール」や「スタジオ」といった感じに、場所が具体的に記載されている場合は、その記載された場所において使用可能チャンネルを計算したものです。つまり、そのチャンネルリストは、その場所のみに適用されます。
B 各チャンネルに付された“○”の見方
 リスト中の「チャンネル」欄において、○印が付いているものは、特定ラジオマイクがそのチャンネルを使うことができることを表しています。ただし、以下のようなルールがあるので注意して下さい。
◇使用可能なチャンネルが単独の場合
 地デジ放送の1チャンネルは、放送用の帯域(中心から±2MHz)と、隣のチャンネルへの影響を防ぐための緩衝用帯域であるガードバンド(両隣に1MHzずつ)の計6MHzで構成されています。チャンネルリストに○印が単独で付されているチャンネルは、そのチャンネル全体の6MHz幅のうち、放送用帯域である4MHz幅の範囲を特定ラジオマイク用として使用することができます。

例:前後に使用可能なチャンネルがない「48ch」の場合
住所 施設名 チャンネル
14 15 16 17 18 47 48 49
東京都
○○区
○○
劇場
屋内          
                   
GB
(1MHz)
4MHz GB
(1MHz)
GB
(1MHz)
4MHz GB
(1MHz)
GB
(1MHz)
4MHz GB
(1MHz)
47ch 48ch 49ch
※GB=ガードバンド
◇ 使用可能なチャンネルが連続している場合
 チャンネルリストの○印が連続している場合は、そのチャンネルの放送用帯域の4MHz幅の範囲に加え、○印が連続する側のガードバンドも特定ラジオマイク用として使用することができます。つまり、隣接した前後のチャンネルに○印がある場合、そのチャンネルは6 MHz幅のすべてを使うことが可能です。また、隣接した前後のチャンネルのうち、片方にだけ○印がある場合、そのチャンネルは5 MHz幅を使うことができます。

例:使用可能なチャンネルが連続している「15〜17ch」の場合
住所 施設名 チャンネル
14 15 16 17 18 47 48 49
東京都
○○区
○○
劇場
屋内          
                   
GB 4MHz GB GB 4MHz GB GB 4MHz GB GB 4MHz GB GB 4MHz GB
14ch 15ch 16ch 17ch 18ch
※GB=ガードバンド
解説/土屋 泰司(総務省 総合通信基盤局)