特ラ連発足10周年を記念して
 
特定ラジオマイクの12年

特定ラジオマイク利用者連盟理事長 八幡 泰彦
 
 お蔭様で当連盟も10年を迎えることができました。これもひとえに皆様のご理解の賜物と一同感謝いたしております。

 ここまでの道程は遠いとか険しいと云った、よく比較される様なものではありませんでした。と云うのは、お手本があったわけでもなく、どうするのか、どうすればいいのか、総て手探り状態であった事から始まったことでした。
 今から12年ほど前に突然当時日本音響効果家協会の理事長の田村 悳さん共々東商会館に呼び出されました。そこで示されたことはワイヤレスマイクが規格化される、それに伴って新規格のワイヤレスマイクはこうなると云う説明会でした。

 それまで私たちが舞台でワイヤレスマイクを使うに際しては免許を受けたものしか使ってはならないことと云うのが鉄則でした。つまり無免許のものは違法である、それ以外のものを使うことは罷りならないと教わってきました。ところがミュージカルなど殊に外国物のレパートリーが要求するワイヤレスの使用本数が非常に増えてきたことやワイヤレスマイクの信頼度が技術開発により高まってきたこととあいまって、対策に腐心する毎日でした。
 そんな折に見せられたものは10mほどしか到達距離のない物でした。使用可能なチャンネル数は8チャンネルでしたか確かに使用本数は増えてはいるものの、そんな事よりもこのような到達距離では私たちが舞台で使用するには余りにも実用性がなく、田村さん共々パニックに陥った事を覚えています。このような法改正は何もワイヤレスを標的にしたものではなく、微弱電波のカテゴリーの見直しの結果であること、更に私たちが違法と思っていたものは実はそうではなかったことも知らされて不勉強であったことを痛感する結果となりました。
 それから度々の研究会、聴聞会を重ね、舞台での必要条件や使用実体を理解して頂きながら、既に放送局が認可されていたFPUとの共用を、ワイヤレスマイクの運用条件の整備を条件に認められる事になりました。この認可に至ったことには芸団協 (芸能実演団体連絡協議会) の協力があって初めて実現したことは忘れてはならないことです。このチャンネルは既に放送取材などに使用するワイヤレスマイクにFPUと共に認可されていたものでしたが、それに更に加わることはNHK、民放連の快諾を得られなければ到底実現不可能なものでありました。
 これに際しても郵政省の強力なご指導と放送局側のご理解があったことが現制度によるワイヤレスマイクの実用化の根本になったことも併せて忘れてはならないことです。
 またこの重要な創霜の時期にあって、法的整備や省庁との交渉に当たられた 堀前理事長の行動力指導力には頭が上がりません。使用本数を拡大するために又新チャンネルを獲得するために日本演劇興行協会のご参加を戴いたことが大いに力を得た訳ですが、前理事長のお力ゆえのことです。
 厚く御礼申し上げます。
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