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Inter BEE 2010 製品レポート

2010年11月17日、幕張メッセ(千葉県千葉市)で「第46回 国際放送機器展」が行われました。世界中のメーカー等が一同に会し、最新の映像・音声関連機器を披露する本イベント。デジタルタイプの特定ラジオマイク(A型ラジオマイク)など、話題の注目機器の数々が展示されました。
音声機器に関する最新の動向は、会員の皆様も気になっていることでしょう。そこで特ラ連事務局では、本イベントの会場へ足を運ぶことのできなかった会員の皆様のために、当日展示されたラジオマイクの新製品・注目製品の中からその一部を紹介しましょう。

タムラ製作所

“デジタル”タイプを中心に展示

タムラ製作所業界初のデジタル特定ラジオマイクを目立つカタチで紹介していたタムラ製作所。デジタルB型ラジオマイクをいち早くリリースした同社だが、満を持してA型の登場となった。ハンドマイク「WTH-7950」とツーピースマイク「WTT-7950」、受信ユニット「WRU-7950」などが展示されていた。同社のデジタル特定ラジオマイクは、圧縮率がわずか1/4という独自のコーデックにより高音質を実現。遅延時間も約1.8msecなので、番組制作の現場などでの活用にピッタリだ。「WRU-7950」はパソコンと接続することで、パソコンのディスプレイ上にラジオマイクの状況(周波数、電界、バッテリー残量)を表示させることができる。複数台のラジオマイクを一括して管理することが可能なのだ。

ゼンハイザージャパン

展示品を実際に試せる工夫も

ゼンハイザージャパン主力機である「5000」シリーズと「2000」シリーズを中心に展示。両シリーズは1本でA帯及びB帯の両帯域をカバーしているのが特徴の1つで、同時に39チャンネルの使用を可能にしている。特に目を引いたのは、ブース内にステージを設けてミニライブを行っていたこと。実際に同社の製品を使って、来場者が直接、音質や操作性などを確めることができるようになっていた。
 プロのアーティストから多く支持されている同社だけあって、ライブでもシッカリと映えるデコレーションの施された特注のラジオマイクも目立っていた。

ソニー

新製品のデジタルに注目が集まる

ソニー新製品のデジタル特定ラジオマイク「DWM-01(ハンドマイク)」、「DWT-B01(ツーピースマイク)」などを展示。同社のブース全体から比べれば、ラジオマイクの展示スペースはやや小さかったが、絶えず来場者がデジタルラジオマイクについて担当者に質問をしていた。
デジタルラジオマイク用受信機「DWR-R01D」は、2.4GHz帯の電波によって、送信機側本体の遠隔操作が可能。送信機の周波数などをコントロールできる他、バッテリーの残量を確認することもできる。音響担当者がラジオマイクの状況を外部から常に把握できるので、突然のバッテリー切れという事態も避けられるという。

ゼネラル通商

堅牢ボディの超小型ツーピースマイク

ゼネラル通商注目したのは、ツーピースタイプのラジオマイク「SMa(LECTROSONICS)」。最大のウリは片手にすっぽりと隠れてしまう超小型なサイズで、演劇などの仕込みで使われるラジオマイクだ。アルミ素材から削り出した堅牢ボディで、過酷な使用現場にも耐えることができる。単3形乾電池×1本で3時間稼動する。
ちなみに、単3形乾電池×2本タイプの「SMDa」も存在。「SMa」に比べて単3型乾電池1本分のサイズは大きくなるが、稼働時間は5時間と伸びる。

オーディオテクニカ

赤外線が途切れにくいワイヤレスマイクが登場

オーディオテクニカ特定ラジオマイクも展示されていたが、新製品としては赤外線使用のワイヤレスマイクを強くアピールしていた。赤外線マイクロフォン「ATIR-T88」は、赤外線の発信部分が握り手の上下に設けられているのが最大の特徴。従来品は握り手の下部のみに発信部分があったが、マイクの使用者によってはその部分を握ってしまい、赤外線を遮ってしまうことも。しかし「ATIR-T88」は赤外線の発信部分が2か所あるので、そのような事態が起きにくいという。

スタジオイクイプメント

2.4GHz帯を使用したデジタルイヤモニを参考出品

スタジオイクイプメントデジタルワイヤレスオーディオモニター「709TM(=送信機)」「709RB(=受信機)」は、2.4GHz帯を使用したデジタルイヤモニ。飛距離は800MHz帯のイヤモニに比べて半分ほどだが、高音質なのが特徴だ。主にスタジオ内など近距離での使用が想定されている。参考出品で、2010年中の発売を目指しているとのこと。気になる遅延は1.5msec。


今回の国際放送機器展ではラジオマイクの分野に限ると、やはり“デジタルラジオマイク”に来場者の注目は集まっていたようでした。「デジタルはアナログに比べて使用できるチャンネルが増えるのか」、「デジタル波とアナログ波が同一空間に混在した場合、お互いにどのような影響を受けるか」、「デジタルラジオマイクのバッテリー持続時間は、アナログと比べてどうか」など、熱心にメーカー担当者へ質問をぶつけている来場者の姿も多く散見でき、注目の高さが伺えました。なお、特ラ連事務局では『特ラ連レポート』や各種セミナーを通して、今後もデジタル特定ラジオマイクに関する情報の提供や解説などを行っていきます。
 さて、本イベントの会場内は「映像・放送関連機材部門」と「プロオーディオ部門」の2ゾーンに分かれていましたが、より華やかだったのは3D映像などを大々的にアピールしていた前者のゾーン。やはり“ビジュアル系”に比べて、ラジオマイクを含めた音響系は全体的に落ち着いた印象ではありました。 とはいえ、映像系ブースの華やかなステージを展開するコンパニオンにはラジオマイクが必須。裏方ではありますが、ラジオマイクはなくてはならない存在であることも改めて実感できたイベントでした。
 次回の国際放送機器展は、2011年11月16日〜18日の3日間、同じく幕張メッセで開かれる予定です。

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