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「ワイヤレスマイクの軌跡」

橋本喜代志様特定ラジオマイク利用者連盟(以下、特ラ連)発足から20年もたったのだと思うと、早くも、と思いますが800MHz、A型ワイヤレスマイク(以下、WLマイク)の使用に当っての、長きに渡る関係者の皆さんの御尽力を思うと、20年と言う時間には、感慨深いものを感じてなりません。  更にその昔を想い出すと、30年以上前のWLマイクは、棒状のスティックタイプで電波の安定性や音色と言うか、マイクカプセルの質の問題等でトークぐらいにしか使用できませんでしたので、ボーカル等に使える物はまだ存在せず、ワイヤードマイクが主流でした。ステージでの振り付けも、そろそろ始まった頃だったので4人位のコーラスグループ等は、ケーブルが絡まってしまい、振り付けの先生と相談しながら稽古をしたものです。右に回ったら、今度は左回りをして、ケーブルが絡まぬ様に頭までもひねっておりました。激しい動きになると、まるでパズルの様になってしまい、絡まなかったとしても、ケーブルのねじれでステージ袖のPAスタッフは、ケーブル介錯で、てんてこ舞いしておりました。当然動きにも制約が有るので、プランした通りにならなかったり、満足の行くステージングでは無かった記憶が有ります。本番では、更に追い打ちをかけるかの様に客席から紙テープが飛び込んで来てステージ上のケーブルどころか何も見えない状況になったりして、スタッフがハサミを持たされていて、紙テープを切って片付けていたりもしました。あげくの果てには、マイクケーブルまで紙テープもろとも一緒に切ってしまった、なんてトラブルにまで発展した事もあります。今では、笑い話として語り継がれていたりしますが、当時は、真剣そのものだったのです。その後、200MHz帯や400 MHz帯の更にダイバシティー受信方式が採用された製品の登場により、今現在使っている物とほぼ同じ形状や性能の物が使える様になり、ステージングや演出にダイナミックさを普通に表現できる様になり、観客にも驚きや、感激をよりダイレクトに伝えられる様になりました。もうWLマイク無しには考えられないと思っていた矢先、電波法改正で、200MHz帯 400MHz帯の使用が終わると聞き、驚きを隠せない感じでした。これからどうなってしまうのか不安な中、FPUと同帯域である800MHz、A型WLマイク運用の為に特ラ連が始動し、最初はA4帯のみから、A2帯の追加で多チャンネル運用が可能になり、更に両帯域でのイヤホンモニターの使用が許可された事でWLマイクと共に更なる自由度の高い演出が可能になりました。この様に特ラ連20年の活動の中にも進化し続けて来た軌跡ではないかと思います。そして昨年、A1帯からA4帯のFPU全帯域でのデジタル化が法的に決まり、大変な事も多々有るでしょうが、今後の活動にも益々の拍車がかかり多忙になる物と思われます。しかし、これを進化と捉えて特ラ連もユーザー側も未来に向けて進んで行ければ良いと思っております。

略歴((株)エス・シー・アライアンス サウンドクラフト ライブ デザイン)

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